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日別アーカイブ: 2025年9月18日

第13回制御盤設計雑学講座

皆さんこんにちは!

株式会社ツバサオートメーション、更新担当の中西です。

 

 

~“変遷”~

 

工場設備、ビル、インフラ、再エネ…あらゆる“動く仕組み”の心臓部が「制御盤」。その設計・製造・保全の在り方は、技術と産業構造の変化に合わせて大きく進化してきました。本稿では、制御盤装置業の変遷を技術・設計手法・規格・ビジネスモデルの観点から整理します。


1|リレー全盛期(〜1970年代):配線芸術の時代 🧰🧵

  • 技術の主役:電磁リレー・タイマ・カムスイッチ。

  • 設計手法:紙面の回路図と職人の“手配線”。配線ダクトと番号チューブで美しく束ねる技能が価値。

  • 特長:シンプルで堅牢。ただし変更に弱く、配線点数増で盤が大型化しやすい。

  • 安全・規格:国内規格中心。安全柵・インターロックは機械式が主流。


2|PLCの登場(1970〜1980年代):“ロジックをソフトに”🧠💡

  • 技術の主役:PLC(シーケンサ)の普及で、リレー論理をプログラム化

  • 設計手法回路最小化+I/O設計へ。盤は小型化し、改造・増設が容易に。

  • HMIの萌芽:ライト・7セグ表示→小型表示器へ。

  • 品質・保全:自己診断・故障履歴が取りやすくなりダウンタイム短縮


3|フィールドバスとFA統合(1990年代):配線“点から線”へ🔗

  • 技術の主役:PROFIBUS、DeviceNet、CC-Linkなどのフィールドバス

  • 効果:I/O配線の削減、ノイズ耐性・診断性の向上、分散制御が一般化。

  • SCADA/上位接続:現場盤が情報を吸い上げ、監視PCと双方向通信

  • 設計の変化アドレス設計・ネットワーク設計が盤設計の中核に。


4|HMI/ネットワーク化(2000年代):見える化と標準化📊🌐

  • 技術の主役:タッチパネルHMI、産業Ethernet(EtherNet/IP、PROFINET、EtherCAT など)。

  • 設計手法モジュール化ユニット設計が進み、UL508A・IEC規格対応が普遍に。

  • 熱設計:高密度化で盤内温度管理(ファン・熱交換器・ダクト設計)が重要テーマに。

  • ドキュメンテーション:E-CAD(例:EPLAN)で回路・配線・部材表の一元管理が加速。


5|IoT/インダストリー4.0(2010年代):データが資産に📡📈

  • 技術の主役:IoTゲートウェイ、クラウド連携、データ解析。

  • 盤の役割:制御に加え状態監視(振動・温度・電流)予知保全のデータハブへ。

  • セーフティ:ISO 13849 / IEC 62061 による機能安全(PL/SIL)設計。安全リレー・安全PLCの採用が常態化。

  • サイバーセキュリティ:リモート保守の普及でアクセス制御・暗号化が必須要件に。


6|エッジAI×電動化(2020年代〜):小さな盤で大きな知能🤖🔋

  • 技術の主役エッジAIによる異常検知、**可変速ドライブ(VFD/サーボ)**の高度化、再エネ・蓄電池連携。

  • 設計潮流

    • 超小型化:高密度端子・薄型ブレーカ・プラグインI/O。

    • デジタルツイン:盤の3D配置・熱流体シミュレーションで初期段階から品質を作り込む

    • 配電×制御の一体最適化:盤内短絡耐力・アーク対策、EMC設計の先回り。

  • 規格・環境:IEC 61439、UL508A、RoHS/REACHなどグローバル対応が前提。

  • ビジネスサブスク型遠隔監視ライフサイクルサービスで“作って終わり”から“運用で稼ぐ”へ。


機能ブロック別に見る“進化ポイント”🧩

  • 電源・配電:機器の省エネ化/直流化の活用、選択遮断・協調。

  • I/O層:スマートI/Oで配線削減、ホットスワップ対応。

  • 通信:冗長化(RSTP、PRP)、セグメント分離でトラフィックとセキュリティ両立。

  • HMI/運用:アラーム哲学、OEE連動、操作手順の電子SOP化。

  • 熱・EMC:初期段階からの熱設計・シールド・接地計画が歩留りを左右。


サプライチェーンと人材の変化 🏭👩‍🔧

  • 部材調達:半導体不足を契機に代替品評価・共通化が重要スキルに。

  • 生産方式:セル生産+外注配線のハイブリッド、UL/CE検査の内製化

  • 人材像:回路・メカ・IT・安全規格にまたがる**“T型”から“Π型”エンジニア**へ。現場は多能工化。


いまの競争力を決める5つの鍵 🔑

  1. モジュール設計(派生機種を高速展開)

  2. デジタルエンジニアリング(E-CAD/BOM/熱解析の一気通貫)

  3. 機能安全+サイバーセキュリティの両立

  4. 遠隔監視サービスで継続収益を確保

  5. グローバル規格適合とトレーサビリティの強化


これからの展望 🚀

  • **盤=“設備OS”**へ:制御・配電・データ・安全を束ねるプラットフォーム化。

  • エネルギーマネジメント連携:PV/ESS/EV との統合制御でピークカット・系統連携が標準に。

  • AI設計支援:自動配線計画・部品選定・発熱予測で設計の自動化が進行。

  • 循環設計:再生プラ部材、リユース盤、ライフサイクルCO₂可視化などサステナブル対応が競争軸に。


まとめ ✨

制御盤装置業は、リレー時代の手配線からPLC・ネットワーク・IoT・エッジAIへと進化し、

  • 小型・高密度

  • 規格順守と安全性

  • データ駆動の運用価値
    を同時に求められる産業へ。これからは設計〜運用〜保全をつなぐ“サービスまで含めた価値提供”が勝敗を分けます。

 

 

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