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月別アーカイブ: 2025年8月

第12回制御盤設計雑学講座

皆さんこんにちは!

株式会社ツバサオートメーション、更新担当の中西です。

 

~“既設を生かして強くする”~

 

新規入替だけが正解ではありません。既設資産の再利用部分アップグレードで、停止短縮・コスト最適化・省エネ・見える化を同時に達成できます。ここではレトロフィットの段取りIoT/リモート監視・セキュリティの勘所をまとめます。🚀


1|レトロフィットの設計手順 🧭

  1. 現地調査:盤サイズ・ケーブル引込・端子番号・回路機能・配線ルートを全面写真+採寸

  2. 互換部品選定リレー→ソリッドステートタイマ→PLC/リモートI/OPLC旧機→現行CPU

  3. アダプタ板/DINレール無加工化を狙う(穴位置流用)。

  4. 配線移設計画:端子No.を旧→新 対応表で作成、一括/段階切替を選択。

  5. 停止計画夜間/休日、ライン分割で片系生産を維持。⏱️


2|PLC/HMI更新のコツ 🖥️

  • I/Oマップ互換:アドレスは旧→新一対一に。

  • 命名規約:タグ名・コメント・版管理(Git/履歴)で「誰が見ても分かる」を徹底。

  • HMIアラーム哲学(重要度/遅延/ラッチ)を整理、履歴と原因対策を残す。

  • バックアップCPU/SD/PC三重。🗃️


3|インバータ・サーボの置換 ⚙️

  • 容量・慣性マッチングを再計算。

  • 制動抵抗/ブレーキ熱容量を再チェック。

  • EMC:新機は高周波ノイズが強いことも。フィルタ/シールド/グランドを最初から設計。🎧


4|省エネ×見える化 📊

  • 電力量・デマンド・温度・振動ゲートウェイで収集→ダッシュボード化。

  • ファン/クーラインバータ/温度制御で回し過ぎ防止。

  • アラームの“予兆化”:連続トリップ・温上昇・振動増加にしきい値+トレンドで先手。🔔


5|リモート監視の設計 🌐

  • 接続方式VPN/ゼロトラスト等を採用、ポート開放は最小

  • 経路分離:**OT(制御)とIT(事務)**は物理/論理で分ける。

  • 閲覧権限役割ベース(RBAC)で閲覧・操作・管理を分離。

  • ログ接続・操作・設定変更全て記録し、改ざん防止。📝


6|サイバーセキュリティの要点 🛡️

  • 資産台帳:コントローラ/スイッチ/アドレス/ファームを棚卸

  • パッチ方針適用窓口・検証→本番の二段階。緊急脆弱性臨時適用ルートを用意。

  • USBメディア管理スキャン・貸出台帳・持込禁止

  • 境界防御ファイアウォール/IPS、不要サービス停止強固なパスワード多要素。🔐


7|ドキュメント&教育 📚

  • 電気図(単線・結線・I/O・端子・配線表)+ネットワーク構成図最新版へ。

  • 操作手順書/保守手順書写真・動画QRを添付。

  • 定期訓練:E-STOP誤作動・ネットワーク断・停電復旧の机上と実機。👩‍🏫


8|止めないための“段階切替”手順 ⏳

  • 影響小→大の順に更新(例:I/Oカード→CPU→VFD)。

  • 二重化期間(旧・新並走)を作り、スイッチオーバー試験でドライラン。

  • 戻し手順(ロールバック)を紙で持つ。📄


9|見積比較“ここを確認” 💴

  1. 停止時間・作業体制(夜間/休日、人数、資格)

  2. アダプタ/配線再利用率(無加工・短工期の鍵)

  3. 試験範囲(FAT/SAT/予兆監視設定)

  4. セキュリティ(VPN/権限/ログ/教育)

  5. 納品物(図面・プログラム・設定・写真台帳・バックアップ)


10|印刷OK:レトロフィット当日チェックリスト 🖨️

  • ☐ LOTO(ロックアウト/タグアウト)実施

  • ☐ 旧→新 端子対応表・I/O点検書

  • ☐ VFD回転方向・ブレーキ試験

  • ☐ 通信疎通(冗長/切替)・時刻同期

  • ☐ アラーム哲学・しきい値設定

  • ☐ 監視画面・履歴・ユーザ権限

  • ☐ ロールバック手順・バックアップ三重


まとめ
“既設を生かす”レトロフィットד見える化・守る化”のリモート運用で、設備は強く・長く・安全に回ります。まずは**現地調査(写真+端子表)**から。最短ルートで設計をご提案します。🔧🌐🤝

 

 

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第11回制御盤設計雑学講座

皆さんこんにちは!

株式会社ツバサオートメーション、更新担当の中西です。

 

~“止まらない盤”~

 

制御盤は現場の“心臓”。設計の段取り部材・配線・熱・ノイズの4本柱を押さえるだけで、トラブルは激減します。この記事では要件定義→筐体設計→電源/保護→I/O→EMC→熱設計→検査まで、明日から使える実務の型をまとめました。


1|要件定義:図面を描く前に決める3つ

  • 電源と負荷:一次電源(相・電圧・短絡容量)、非常電源の要否、VFD/サーボの台数。

  • 安全レベル:非常停止・安全扉・ライトカーテン等。PL/SILの目標値と安全リレー/安全PLCの採用可否。️

  • 環境条件:周囲温度/湿度/粉じん/油ミスト、屋内外、IP/IK等級、腐食雰囲気(食品・化学・海辺)。️


2|筐体・レイアウト設計

  • 筐体選定:屋外や塩害はSUS/塗装鋼板+ガスケット、食品向けはR面・水切り形状

  • ゾーニング電源・動力・制御・通信を水平/垂直で分離。VFDはノイズ源ゾーンに。

  • 余裕率盤サイズは20〜30%の空きを目標(将来拡張・放熱)。

  • 端子台電源/アース/制御/フィールドを色別・列別で。保守は手前=現場、奥=装置内が鉄板。


3|電源・保護回路の勘所

  • 主幹保護:遮断器は短絡容量・トリップ曲線を適合。二次側に漏電保護(用途に応じて)。

  • 制御電源DC24V二重化 or 冗長モジュール検討。サージ/雷保護も忘れず。⚡

  • セーフティE-STOP自己保持回路+カテゴリ適合双手操作/ガード安全リレーで監視。

  • アース:一点接地の母線バーを用意。**保護接地(PE)と機能接地(FE)**は目的別に分ける。


4|I/Oとフィールド配線

  • 入出力設計:DI/DO/AI/AOの点数+予備10〜20%。ノイズ源は絶縁型I/Oで距離を取る。

  • フィールド端子端子台→フェルール端子で抜け防止。24V/0V/PE3点セットで並べると現場が早い。

  • 配線色(例):AC=黒/赤、DC+=赤、DC−=青、PE=緑黄、通信=灰/紫など、社内標準で統一。

  • 通信Ethernet/Fieldbus金属ダクトから離して配線、曲げRを守り終端抵抗を適正に。


5|EMC/ノイズ対策

  • VFD/サーボRFIフィルタ・リアクトルシールドケーブル360°接地。モータ側はアースクランプでがっちり。

  • ケーブル分離電力>制御>通信の順に離す(最低でもダクト分離)。

  • 避雷・サージSPD(クラス選定)を主幹→分岐→制御の順に多段。

  • グランドループ一点接地+シールド片側接地を基本、必要に応じ両端接地+ドレインで高周波対策。


6|熱設計・放熱 ♨️

  • 発熱計算:機器の損失合計→許容温度差から必要風量/クーラの能力を算出。

  • 冷却手段ファン/フィルタ熱交換器盤クーラの順で検討。フィルタ目詰まりの差圧監視が効く。

  • 配置上=発熱大、下=発熱小はNG。上=クーラ/ファン、下=吸気で流れを作る。


7|配線品質=“再現性”

  • トルク管理:端子・ブレーカは規定トルクで。

  • 結束間隔=配線径の1.5〜2倍、熱源の近くは耐熱結束

  • 表示機器ラベル・端子番号・ケーブルマーキング同一書式で。QRで図面リンクも便利。


8|検査(FAT/SAT)の型 ✅

  • FAT(工場):回路絶縁・耐圧・I/Oシミュレーション・非常停止/インタロック。

  • SAT(現地):実機負荷・フィールドI/O・通信遅延・VFDの回転方向・安全機能の実動作

  • 記録写真台帳+試験成績+設定バックアップを一式で納品。️


9|よくあるNGと回避策 ⚠️

  • 通信が不安定:電力線と同ダクト→ダクト分離・片側接地

  • 盤内が熱い:クーラ容量不足→発熱再計算&風路見直し

  • E-STOPで止まらない:ロジック化→ハード有接点の安全回路へ

  • 端子焼損:ゆるみ→定期トルク点検+ばね端子検討


10|印刷OK:現場チェックリスト ️

  • ☐ 主幹遮断器容量/短絡容量

  • ☐ DC24V冗長/監視

  • ☐ グランド母線/シールド処理

  • ☐ VFDのEMC対策/シールド360°

  • ☐ 放熱計算/差圧監視

  • ☐ E-STOP/安全扉/カテゴリ試験

  • ☐ I/Oマップ/予備点

  • ☐ FAT/SAT記録・バックアップ


まとめ
ゾーニング×EMC×放熱×安全で“止まらない盤”に。まずはケーブル分離と放熱計算から手を付けるのが近道です。⚡

 

 

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